■生活習慣指導
他の多くの慢性疾患と同様に成人の脂漏性皮膚炎治療においても、
スキンケアを含めた心身の健康度を高める生活習慣が推奨されています。
それは、長期的な改善が期待できるからです。
脂漏性皮膚炎を含む慢性皮膚疾患治療に際して特に取り組みやすい
食生活改善を中心にした生活習慣の治療アプローチが重要といえます。
なかでも、心因に対する配慮をはじめとして、食、運動・姿勢、呼吸、睡眠、体内環境の
浄化(排泄)を健康増進に役立てることが推奨されています。
生活習慣指導例、、、
・食生活および生活リズム
ビタミン類を含み動物性油脂の過剰摂取をしない、規則正しい生活、ストレスを避ける
・洗髪および洗顔法
病変部位への刺激の回避や洗浄剤の適切な使用と使用方法
・外用剤について
炎症とマラセチア菌類の増殖を抑制する外用方法
食事の皮膚表面脂質組成や皮膚機能への影響
多価飽和脂肪酸(※1)の乾燥皮膚への効果として食事内容による皮膚膜への影響が大きいことが明らかになっています。さらに、最近では、グリセミック負荷(※2)の低い食品摂取が皮脂産生やざそうを改善した報告もあります。
食療法と一口に言っても万人に推奨できる画一的な食事があるわけではなく、気候、風土、民族、体質、年齢、体調などを考慮し、必要な成分を過不足なく適切に摂るよう、全体として健康増進に働く食生活を目指すこと、また、各人の問題点を洗い出すように努力をし、自発的な取り組みを長期的視点でしていくことが肝要です。
※1 多価飽和脂肪酸は主に植物や魚に多く含まれる油脂成分。
リノール酸・リノレン酸・EPA・DHAなどがよく知られており、体内で合成されない必須脂肪酸が含まれます。リノール酸は体の成長、皮膚症状などを正常に保つために必要な脂肪酸です。
※2 グリセミック負荷とは、食品と血糖値の上がり方の程度を表す数値、指標のこと。
基本的に炭水化物の量が少ない、精製度の低い食物(品)がグリセミック負荷が低い。
■内服療法
成人の脂漏性皮膚炎の内服療法には、西洋医学的療法と漢方療法があります。
いずれも、通常の外用療法や生活習慣のみでは改善が不十分な病態に対して用いられます。
▼西洋医学的内服療法薬
代表は湿疹・皮膚炎に対しての治療薬としての抗アレルギー剤
当病態に関わる過酸化脂質やアミノ代謝に影響を及ぼすビタミンB群,ビオチンなど
ビタミンB群はその欠乏症の一つとして脂漏性皮膚炎に特異な皮膚症状をきたし、補充により改善できることがありますが、これらのビタミン欠乏は単独で生じることは少なく、ほかの成分の過不足も同時に存在し、皮膚に影響を及ぼしていると考えられていますので、食生活を見直し必要に応じて改善することが重要なアプローチといえます。
▼漢方薬の内服療法
基本は『十味敗毒湯※』※華岡青洲が作った十味敗毒湯に浅田宗伯が工夫を加えて、広く皮膚疾患に応用されるようになった漢方薬です。
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