マラセチアと脂漏性皮膚炎
マラセチアって??
マラセチアは人や動物の皮膚などに常在する真菌で現在では14種に再分類されて、アレルギーなどによって皮膚の抵抗力が低下すると増殖し、かゆみや炎症を引き起こします。そして、マラセチアは皮脂を好むため脂漏部位で増殖します。皮脂は毛穴から分泌されるので、頭皮は脂漏性のふけやかゆみの原因になりやすいのです。
また、マラセチア自体が脂漏性皮膚炎の原因ではなく、皮脂から遊離脂肪酸※を誘導することで炎症を引き起こすともいわれています。
※脂肪細胞に蓄えられた中性脂肪が分解されてできる脂肪です。人間がエネルギーとして使うために血中に溶け出した脂肪のことです。20 分程度の運動をすると、脂肪細胞から排出され、エネルギーとして消費されます。また、肥満によって蓄えられた脂肪が増加すると、この遊離脂肪酸が血中に移動し、それがインスリン抵抗性を高め、血糖値を高くします。そのまま何もしないままでいると遊離脂肪酸は、また元の皮下脂肪に戻ってしまいます。
脂漏性皮膚炎とマラセチアの関係で明らかなことは、皮疹が改善するのに並行して菌数が減少するという抗真菌剤の治療効果があることからです。
▼型
乳児型・・・生後2〜3週から出現して4〜8ヶ月後までに自然に消退
成人型・・・思春期以降に出現し長時間持続
▼皮疹の特徴
表面に油性で黄色調の鱗屑のある境界が紅斑になっています。
▼分布
脂漏部位の頭部・眉間・鼻周囲・前胸正中部・上背部などに左右対称にみられます。
▼皮脂
診断の助けになるのがセブメーターでの皮脂の測定です。アトピー性皮膚炎と脂漏性皮膚炎、健常人の間では明らかな差があり、アトピー性皮膚炎では平均55、健常人では平均95、脂漏性皮膚炎では135という結果が見られています。
▼鑑別
アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、尋常性乾癬、皮膚筋炎、ステロイド皮膚炎などと鑑別する必要があります。脂漏性皮膚炎と自己判断し受診する方の半数は接触性皮膚炎と診断されるケースが多いということです。
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