脂漏性皮膚炎の有病率
新生児では70%前後、全体では3〜4%程度と捉えるのが妥当と考えられています。
最近日本でなされた大規模な調査では有病率は3.28%と報告されています。
また、ご存知の通り、脂漏性皮膚炎は乳児に生じる場合と成人に生じる場合があります。
乳児の場合は、髪が垂れる境界部を中心に厚い鱗屑が付着した紅斑が広がります。出生から3か月の間に70%と報告されていて、非常に高い有病率ですが、多くの場合は1歳ごろには炎症は軽減して、有病率も7.5%、さらに3歳では0.9%となり、一時的な炎症といえます。
成人では本国の調査では男女比1.67:1、最近なされたギリシャでの調査は1.46:1、アメリカでの調査では1:1.03と男女差に明らかな差異はみられなかったようです。人種差や生活環境による影響もあると考えられています。
発生する頻度が高い年齢は男性では26〜30歳(有病率7.7%)、女性では51〜55歳(4.5%)にピークがみられるということです。
発症部位が特徴的
頭部、鼻唇溝、眉、耳介などが発生頻度が高い部位
そのために、このような部位に湿疹性の病変があるとすぐに脂漏性皮膚炎
と診断される危険があります。アトピー性皮膚炎や乾癬など異なる疾患の
可能性もあるので、部位だけで診断されない信頼できる皮膚科で受診する
ことも重要です。たとえば、難治性の頭部湿疹だったため脂漏性皮膚炎と
思っていたら、実はシャンプーやリンスなどヘアケア料による接触性皮膚
炎ということも十分想定されるということです。
湿疹性変化がある脂漏性皮膚炎の特徴
1.脂性の鱗屑が付着している
2.湿りっ気が乏しい(少ない)
3.症状があるところとないところの境界がわかりやすい
4.痒みが比較的軽い(あまりない)
自己診断の一つの目安にして、疑問に感じるときは再診を検討することも大切です。
QOL((Quality Of Life;クオリティオブライフ):生活の質)の低下
脂漏性皮膚炎自体で命の危険にさらされることはないに等しいですが、社会的に活動するなかでは、ストレスの原因となっていることは少なくありません。DLQIというものを用いた調査では、乾癬やアトピー性皮膚炎ほどではないですが、中等度の障害が生じており、QOLの低下が引き起こされていることは明らかです。特に男性より女性の方が、また、年齢では50歳以下の場合において、より顕著なQOLの低下が認められています。
さらに、頭部に皮疹が限られている場合より顔面など他の部位にも広がっている場合の方が、影響も大きいようです。とはいえ、当然のことながら、同じ程度の脂漏性皮膚炎でも人によってストレスの度合いは異なり、千差万別です。
「脂漏性皮膚炎を極めよう」のページに戻る